今回のNPOカフェまんまるのテーマは「協働」です。「協働」は地域課題の解決を考える時に必要だと言われています。人と人や団体などが出合い、お互いの強みを出し合い、新たな活動を生み出すことができる「協働」。それは学生たちの学びを支えることも「協働」で実現できるのではないかと考えました。そこで、今回の交流会では、ながの地域まるごとキャンパス(以下まるキャン)活動報告会と合同で開催し、まるごとキャンに参加しているプログラム提案団体の活動紹介や事例発表などを聞きながら、「協働」について深める交流会を開催しました。
日 時:2024年12月1日(日)13:00~16:00
場 所:長野県立大学三輪キャンパス
参加者:提案団体15団体、一般参加41名
【第一部】まるキャン活動団体交流会
まるキャンの活動が始まってから7年が経ち、今年度から新しくまるキャンに参加した提案団体もあることから、改めてまるキャンの主旨や活動が始まった経緯を長野県NPOセンターの阿部が説明しました。
今年度の提案団体は35団体です。そのうち15団体が参加し、ブース出展しました。都合が合わず欠席した団体は活動紹介パネルの展示での参加です。多くの団体に参加して頂き、とても賑やかな会場になりました。
まずは各団体の活動紹介1分間スピーチ。それぞれの団体が特色ある内容を発表しました。そのあとは各団体のブースを自由にまわり、交流をしました。
特に気になった団体に「いいところ」や「伝えたいメッセージ」を付箋に書いて貼る時間もありました。学生から団体に「来年は自分の考えた企画をやってみたい」「来年、機会があれば参加します!」などのメッセージが貼られていました。団体同士では「うちに来ている子どもの声を聞いてください」「学生の分からないことが分からない、というまとめが深い!これをどう拓いていくか皆で頑張っていきましょう」など寄せられていました。
【第二部】協働事例発表&協働ってなんだろう?
「協働」を実践した3団体からの活動事例発表をしていただきました。
長野県社会福祉協会 川崎昭仁さん
まるキャンプログラム提案団体として登壇していただいた川崎さん。プログラム「福祉ってなぁになぁに?」では、参加者に福祉を体験してもらい、それを発信することを活動にしたと話しました。実際に作成したYouTubeでは、街に出て信号機の通常ボタンと音響式ボタンの青の音の長さを比較した動画をみました。
被爆体験を聴く会 土田昇さん
被爆体験を聴く会では、生活の基盤は平和であるとし、平和を維持するために過去を学び平和を考える活動をしているとのこと。今回は初めてまるキャンで映画「ひろしま」上映会を一緒に企画運営するプログラムを提案しました。参加した学生は、広報ツールとしてSNS活用を提案したり、上映会後のプログラムとして「平和へのアクション」の検討に参加したりしたそうです。土田さんは、若者視点での課題の発見や次世代へ引き継ぐ活動としてメディアから注目されるなど、実行委員会が今までにないくらい活性化したと話しました。
つくば開成学園高校(長野学習センター) ボランティア委員会
もんぜんぷら座から徒歩1分のところにあるつくば開成高校は通信制高校。以前からボランティア活動を始めていましたが単発で終わっていたとのこと。担当の堀先生は、継続力や自発的な行動力を身に着けたり、経験を積み重ねてたりして自信をつけてほしいという思いから「継続的な活動はないか」市民協働サポートセンターに相談し、長野市浅川地区の方々と出会ったと話しました。
生徒が作成した活動紹介動画には、「道路清掃のボランティア活動をしたことで、自ら行動し、協働する楽しさを知った。ブドウ園の宋さんと出会い、傷んだ実の摘果や収穫の作業、またボランティア委員会以外の生徒も参加したこと、宋さんの熱い生き様や地元の方々の言葉が自分の可能性を広げる良い経験になった」とまとめられていました。
当日発表した学生からの一言です。
・今日、この場に来れたことがすばらしい
・好きなことをしている大人がキラキラしてステキ。自分もそうなりたい
・知らない果物を育てていることが新鮮。視野が広がった
・慣れないことをやって疲れた。でもだれかのためになっている、もっとたくさんの人と関わりたい
事例発表を聞いた後は、長野県立大学ソーシャル・イノベーション創出センター(CSI)センター長の東俊之さんから「協働ってなんだろう?」と題して、地域で、みんなで活動するポイントをお話していただきました。
東先生は、「『協働=コラボレーション』であり、協力して新しい“もの”を創り出す」と話しました。特に近年は、社会課題が多様化・複雑化しているため、社会課題の解決や地域づくりには、様々な参加者のコラボレーションが必要とのこと。「出会いの場」を創り出し、積極的に参加することが必要ではあるが、出会った人々の全てを知っている必要はなく、誰がどのような資源をもっているかを“誰か”が知っていることが大事。発見された課題ごとにつながる相手は変わります。ゆるやかな関係性が作れる場に出向くことも必要とまとめました。
【第三部】大交流会「新聞紙タワーをつくろう!」
第三部は、まるキャンアンバサダーが企画した参加者と活動団体の交流タイムです。まるキャンアンバサダーというのは、まるキャンの日々の活動の取材や報告会の企画運営を通して、まるキャンを盛り上げてくれる学生のボランティアです。大交流会では、学生や参加者、提案団体がグループに分かれ、新聞紙タワーを一緒に作ることで「協働」を体験します。用意されている道具は、新聞紙10枚とセロハンテープのみ。これを使って一番高いタワーを作ります。
5分間の作戦会議をしたあとに本番に入りました。制限時間は5分。作戦会議通りにできたグループ、制限時間間際で倒れてしまったグループなど様々です。一番高く作れたグループには景品のお菓子をプレゼントしました。参加者からは「学生より真剣にやってしまった」「最初の作戦会議(事前の話し合い)が重要ですね!」などの感想が寄せられました。
協働体験をしたあとは、グループでのトークタイムです。テーマは「学生は忙しいけどなぜまるキャンに参加したのか」「学生に聞いてみたいこと、大人に聞いてみたいこと」の二つです。「なぜまるキャンに参加したのか?」に対して、「きっかけは進学のためだったけど、やってみたらほかの活動もやりたくなって追加申込しました」と答える学生がいました。学生からの「学校という狭い社会の中にいるので広くつながる方法は?」という問いに、「それあったらいい!楽しいかも~と話しているうちにつながることもある。大人もつながりを探しているんだよ~」と回答しているグループもありました。
【アンケートに寄せられた参加者の声】
<第一部>
・興味を持ったブースで直接お話ができたことが良かったです。
・いろいろな事例を知り勉強になりました。
・たくさんの団体の話を聞けてよかったです。
・参加者や参加団体さんとお話できたのはよかったが、交流タイムが短かった。
・自分の知らない団体について知ることができて楽しかったです。
・各団体から具体的な内容を聞くことが出来て良かった。
・前から気になっていた団体の方と実際にお話できて嬉しかったです。もう少し、交流できる時間があるともっといいと思いました。
・自分が参加した活動意外の活動についても知ることができて良かった。来年からも参加したいと思う活動も見つかった。
・こんなにも多くの団体が学生と協働し、幅広く活動しているということを知れた。また、学生側にはそれぞれ違った形の学びがあると感じた。
<第二部>
・高校生のボランティア活動に感激!先生方もお疲れ様でした。外部からの力が必要になれば、地域の方々の受け入れもスムーズになるのかしら?と思ってしまいました。
・東先生の話がとても勉強になりました。
・発表する側ですごく緊張しましたが自分の思いを伝えられたと思います
・つくば開成学園高校の活動が特に素晴らしいと思いました。
・他の人と関わり合いながら何かをする時の大切なコツも知ることができました。
・今まで協働という言葉に一種の堅苦しさを感じていたので、「とりあえずいっしょにやってみる」「ゆるく繋がる」という考え方が合ってるなと感じました。
・つくばの学生さんたちの活動が自分達と通ずるものがあり、親近感を感じた
・活動の具体例をうかがえてよかった。東先生のお話の中での『組織間コラボレーションはいかにほぐすことができるか』という言葉が心に残った。
<第三部>
・自分が高校生だった時のことを振り返って…。これからの子ども達に、できることをこれからもやって行きたいと思いました。
・楽しく共同作業ができました。
・初めましての方と協力してタワーを作ったり、お話を沢山聞けて良かったです
・これが1番楽しかった。自分の知らない人たちと交流できるのは楽しい。トークテーマを決めて話し合えるのは良かった。1部2部と座って人の話を聞くことが多かったので、前回のように交流時間や自由時間をもっと増やしてもいいのかなとは思った。
・普段お会いすることのない方と知り合って、いきなり何かを作り出すのがとても楽しかったです。
・何が起こるかわからないというところが良かった
・タワー作りは良かった。班内にもう少し学生がいたら良かった。
・新聞タワー作りでは上手くいかないこともあったけど、グループみんなで話し合って楽しく行えて良かった。色々な意見が聞けて有意義な経験になった。
・初めて会った方々と一つの目的に向かって協働するという活動は、うまくいかなかったとしても価値のある活動だと感じた。
【まとめ】
今回の交流会は、まるキャンの活動報告会とコラボして、活動発表をした提案団体とまるキャン参加者である学生、まるキャンや協働に興味のある参加者との交流を目的にしました。新しい出会いが来年度の企画へとつながった団体もあります。学生も積極的に団体と交流し、意見交換する姿が見られました。3時間という長丁場ではありましたが、時間が足りないと感じるくらい濃い時間を過ごすことができたと感じています。